京まふ国際漫画賞2016結果

台湾部門・大賞

デバグ-ノートパソコンのマニュアル-第一話

nyaroro

【審査員コメント】

類型ありそうなモチーフながら非常にキャッチーですし、語り口も巧みでした。34ページ目、全候補作通して、ここだけ素で笑ってしまいました。以降の展開で「ノートパソコン擬人化」であることをどこまで活用できてるかが勝負かと(タッチする、熱暴走する、フリーズする…など、「使える」ネタはたくさんあるので)。できればそこまで拝読して決めたいところではありますが…即戦力という意味では、こちらの作品が一番だと思いました。(豊田)

セリフがやや多いと、冒頭のメインキャラクター二人のやり取りが少し冗長に感じてしまうところを除いて、絵の入りやすさと物語の引きが十分に備えた作品。異なるタイプの男性キャラクターがそれぞれ魅力的で、顔立ちとファッションだけで性格がわかってしまうことが素晴らしい、とか言って女の子も可愛くかけているので、日本の商業誌で活躍する能力は十分あると考えます。(呉)

画がうまく,ストーリーも良かった。(京まふ事務局)

入選

KARAS押形《NelonBrilion神謡方界》

【審査員コメント】

かなり作りこまれた世界設定ですし、描写も丁寧で好感を抱きました。正直なところ、全編通して読まないと評価が難しい作品ですが…キャラクターに「謎」な部分が乏しく、ストーリー展開(あえて言えば、設定を順番に読者さんに「教える」こと)で駆動させてしまっている風なのが少々残念でした。そもそも、これは「誰の」「どんな行動」を楽しむ作品なのか…対象読者が見えづらいところも。2話、3話と進むにつれて、描写が少し簡素になりすぎているように感じたので、丁寧さを貫いてほしいです。(豊田)

根本的な画力が非常に高い。なおかつ、各キャラの洋服やアクセサリーのデザインが物凄くかっこいいです。このこだわりを活かした作品を描き続けていただければ、素敵な作品が沢山出来ると思います。(菊池)

MAE《記憶の怪物》

【審査員コメント】

死んだ兄の過去を追う弟の葛藤、その複雑な心理がとても上手く描かれています。次のページをめくりたくなる、さらに次の回を読みたくなるクリフハンガー的な仕掛けがとても上手い。キャラクターたち(特に少年たち)の描き分けができていないのは残念。(呉)

画もきれいだし、読みやすい。(映像產業振興機構)

画はうまく,ストーリーも面白かったが,動きのある画に物足りなさを感じた。(京まふ事務局)

漫画家としての総合力で考えると、レベルの高い今回の応募作品の中ではトップでは感じた。僅差の2位で惜しかった。(菊池)

Jason_C 《戦場の通信》

【審査員コメント】

読みやすさに関しては文句なし。半生半可な技量ではできない、マンガ表現の「わかりやすい」という良さが全面に出ている作品。著者の能力の高さが伺えます。読者対象を定め、題材を絞れば、日本の商業誌でも通用する能力を持っています。(呉)

イラストレーターをされているとのことだが、漫画の構成力が非常に高い。日本人の私が他国語のまま読んでも、ほとんどストーリーが読み取れてしまうくらい判りやすかった。正に漫画として正しい作品。(菊池)

画がうまく,分かりやすく描かれており,ストーリーも良かった。(京まふ事務局)

九穫 《ドラゴンのナイトメア》

【審査員コメント】

新人賞が、荒削りな才能を見つける場であるものだとすると、とても大きな才能と潜在力を感じさせてくれた作品。ストーリーはダイナミックで、各ページの作画にも絵に対する執念を感じました。今回の応募作はレベルが高く、判りやすさや構成力の比べると若干バランスを欠くところがあるが、個人的には補って余りある訴えるものを感じた。(菊池)

人外モノとしてキャッチーさのある設定ですし、力の入った描写(特に人物以外)もとても魅力的でした。ただ、短編作品として考えると、世界設定の説明に終始してしまったのが非常に残念です。本来、読者さんが読みたいのは「この先」なのではないでしょうか。(豊田)

Penpoint(筆頭) 《MIXING REGION》

【審査員コメント】

絵がとても受け入れられやすく、短ページで物語をまとめる能力をも持っています。そこから読者を引き込むチカラが生まれて、目に入った瞬間とりあえず内容を読みたくなる作品。題材と内容も面白く、さらに深みを出せば日本での活躍の場が一気に広がるはず。著者には自信を持って、もう少し貪欲に要素を入れてほしい。(呉)

オリジナリティありました。この手の作品は商業的に難しそうに見えて、ときどきスマッシュヒットが出る表現手法でもあるので、そのあたりの期待値込みで高評価をつけました。キャラクターの造形に愛らしさが加わるとなお良いのですが…現状、少々「雑」に見えています。描写の手数を減らして欲しい感じです。(豊田)

御縁(みえにし) 《タイムカプセル》

【審査員コメント】

ショートストーリーで良くある話ではあるが、綺麗なタッチで、手を抜かずに丁寧に描かれた作品。今回応募された作品の中では、最も日本語が上手く、出来事も日本の話と見える。それもそのはず、この作家さんは日本に数年留学をしていたとのことで納得しました。少し長い作品も読んでみたいですが、素晴らしかったです。(菊池)

描写への力の入れ方にはとても好感を抱きました。ただ、短編作品としては「途中で終わってる」印象です。描くべき(読ませるべき)は、真相を知った主人公が何事かを成すまで、つまり最後のコマの「前」だったのではないでしょうか。少々蛇足かもしれませんが…新人賞投稿作の2割くらいは、本作と同様の「漫画家を目指して挫折した主人公が再び漫画家を志す」展開だったりします。(豊田)